- 紫波の補助は住んでいる地区で決まります。町全域に出る蓄電池補助はありません。
- 水分地区・志和第8行政区なら、蓄電池に工事費の4分の3。受付は令和10年3月31日まで。
- 同じ2地区には、初期費用ゼロで太陽光と蓄電池が付くPPAサービスもあります。
- それ以外の地区は、新築なら県の枠(蓄電池に最大35.7万円)。国のDR補助金は2026年5月29日に終了。
紫波町といえば、オガール。補助金や税金に頼りすぎず、まちが自分たちで稼いで循環させる——そんな環境・エネルギーの意識が高いまち、という印象を持っている人も多いはず。
その紫波で「蓄電池、うちも入れたほうがいいのかな」と考えているなら。うちも岩手の人間として、正直に書きます。紫波の制度は、岩手のどの市町村とも似ていません。そして調べた中で、いちばん手厚い。
ただし、住んでいる場所で話がまったく変わります。そこから。
紫波の補助は、住んでいる地区で決まります
紫波町は環境省の「脱炭素先行地域」に選ばれています。ただし町全体ではなく、水分地区と新山地区(志和第8行政区)の2つ。
町が出している紫波町脱炭素先行地域づくり事業補助金は、この2地区に住んでいる人だけが使えます。担当は産業部 地球温暖化対策課、電話019-613-5003。
まず自分の住所がこの2地区に入るかどうか。ここが分かれ道です。入っていれば、この先はかなり良い話が続きます。入っていなければ、後半の「それ以外の地区」まで飛ばしてください。
2地区なら、蓄電池に工事費の4分の3
補助率を見たとき、正直おどろきました。
- 蓄電池:対象工事費の 4分の3
- 太陽光発電設備:対象工事費の 3分の2
- 高効率空調(エアコン)・高効率給湯器:対象工事費の 3分の2
- 既存住宅の断熱改修:対象工事費の 3分の2(上限120万円)
他の市町村は「1kWhあたり2万円」「上限20万円」といった定額の設計がほとんど。そこへ工事費の4分の3です。100万円の蓄電池なら75万円。桁が違う。
しかも受付は令和10年3月31日まで。今回いろいろ調べましたが、期限にこれだけ余裕が残っている制度は他にありませんでした。
ただし予算の総額は公表されていません。期限が長くても、予算が尽きた時点で終わるのが補助金の常です。余裕があるように見えても、確認は早いほうがいい。
さらに、初期費用ゼロで太陽光と蓄電池が付く仕組みもあります
同じ2地区には、もうひとつ選択肢があります。
家庭向け太陽光発電PPAサービス「みくまるっと ソーラーチャージ輝(きらりん★)」。
仕組みはこうです。発電事業者の負担で、自分が所有する建物に太陽光発電設備と蓄電池が設置される。つまり設備の初期費用を払わずに、太陽光と蓄電池のある暮らしが始まります。
サービスを提供しているのは、合同会社北上新電力とNTTスマイルエナジー株式会社。
ただし正直に書いておくと、利用料金・契約期間・申込方法は、町の公式ページに記載がありませんでした。PPAは「初期費用ゼロの代わりに、電気を一定期間買い続ける」契約であることが多く、総額で見たときに本当に得かどうかは条件しだいです。
補助金を使って自分で買うのと、PPAで初期費用ゼロにするのと、どちらが得か。これは契約年数と電気の単価を見ないと判断できません。地球温暖化対策課(019-613-5003)で条件を聞いてから決めてください。
それ以外の地区に住んでいる場合
2地区の外に住んでいるなら、町の蓄電池補助は使えません。残るのは県と国です。
これから家を建てるなら、県の枠。いわて省エネルギー住宅建設推進事業費補助金は、新築戸建て限定で、太陽光が必須(上限35万円)、蓄電池は選択で5.1万円/kWh × 7kWh = 上限35.7万円。断熱等性能等級6で100万円、等級7で180万円。合わせて最大257.3万円。
受付は令和8年5月18日から12月4日まで、県土整備部建築住宅課 019-629-5934。岩手型住宅賛同事業者などの登録事業者が建てることが条件です。
なお町の「循環型エコプロジェクト推進事業」はエコクーポン券を出す仕組みで、太陽光と蓄電池は対象に入っていません(家庭用燃料電池や太陽熱温水、町産木材の住宅などが対象)。名前が紛らわしいので念のため。
国の枠と比べると、2地区の4分の3がどれだけ破格かわかる
国のDR家庭用蓄電システム導入支援事業(1申請上限60万円)は、2026年5月29日の予算到達ですでに公募終了。令和8年度補正の予定も、2026年9月時点で資源エネルギー庁・SIIのどちらからも発表がありません。仮に再開していたとしても、工事費の4分の3という紫波の2地区の補助率と比べれば見劣りする設計でした。それくらい、水分地区・志和第8行政区の補助率は特別です。
12.5万円/kWhという壁
国の枠が次に開いたときのために、知っておいてほしい数字があります。
国のDR補助金には目標価格というルールがありました。蓄電システムの購入価格(設備費+工事費、税抜)が12.5万円/kWhを超えると、そもそも申請できない。
7kWhなら87.5万円が上限ライン。ここを超える見積もりを持ってきた業者と契約した瞬間、国の補助の話は終わります。
これは町の補助を使うときにも効きます。工事費の4分の3が出るとしても、その工事費が相場より高ければ、自己負担の4分の1も高くなる。補助率が高い制度ほど、業者の言い値で進みやすいので気をつけてください。
補助率が高い制度ほど、見積もりの比較が効きます
同じ機種でも業者によって数十万円ちがいます。工事費の4分の3が出るとしても、その工事費自体が高ければ自己負担も増えます。お住まいの地域の優良業者を最大5社まで無料で一括比較できます。見積もりだけの利用でもOKです。
▶ 蓄電池の無料一括見積もりはこちら脱炭素先行地域の冬こそ、置き方で性能を守る
紫波町は面積約239km²、人口はおよそ3.1万人(紫波町公式、2026年8月1日時点推計人口)。オガールプロジェクトで知られる一方、冬は北上川沿いの内陸らしい冷え込みがあり、雪も積もります。せっかく脱炭素先行地域の補助で手厚く導入しても、置き方を誤ると性能を発揮しきれません。
リチウムイオン蓄電池は寒さで一時的に性能が落ちます。屋内か風下の軒下に置く、動作下限温度をカタログで自分の目で確かめる、太陽光とセットなら雪で丸一日発電しない日がある前提で容量を決める。4分の3の補助を受けた設備だからこそ、この基本は飛ばさないでください。
今日やること、2つだけ
- 自分の住所が水分地区・志和第8行政区に入るかを確認する。ここで話がまったく変わります
- 地球温暖化対策課(019-613-5003)に電話する。2地区なら予算の残りとPPAの契約条件を、2地区の外なら県の枠の使い方を聞く
環境に前向きなまちだからこそ、「エコだから」の雰囲気で即決しないこと。補助率4分の3もPPAも、条件を数字で見てから決める。それだけで紫波で蓄電池を入れて後悔することは、まずないはずです。
※本記事は2026年9月時点で、紫波町・岩手県・資源エネルギー庁およびSII(環境共創イニシアチブ)の公式情報を確認して書いています。対象地区・補助率・受付期間は変わることがあり、予算上限に達した時点で受付が終了します。PPAサービスの利用料金と契約期間は公式ページに記載がないため、必ずご自身で確認してください。申請前に必ず紫波町公式ホームページ「地球温暖化対策・脱炭素に向けた取組に対する補助金について」をご確認ください。問い合わせは紫波町 地球温暖化対策課(019-613-5003)、岩手県 建築住宅課(019-629-5934)へ。
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