- 矢巾町には町の補助がある。ただし太陽光と同時に設置することが条件。蓄電池だけでは対象外。
- 蓄電池は(設備費+工事費)の3分の1、家庭用は1kWhあたり15.5万円・4kWhまで。
- 先着順で、予算が尽きたら終わり。そして令和9年度でこの事業自体が終わります。
- 国のDR補助金は2026年5月29日に終了。次の公募は未発表。
矢巾は、この10年で家がぐっと増えたまち。岩手医大が移ってきて、若い世帯の新築住宅が一気に建った。新しい家を建てるタイミングで「太陽光と蓄電池、どうしようか」と迷っている人、多いと思います。
うちも岩手に住んでいるので正直に書きます。矢巾の補助は、岩手の市町村の中でもかなり手厚いほう。ただし条件と期限があって、そこを知らないと取り逃します。順番に。
制度の名前は「地域脱炭素移行・再エネ推進事業補助金」
環境省の地域脱炭素移行・再エネ推進交付金を使って、矢巾町が住宅と事業所に出している補助です。担当は町民環境課環境係、電話019-611-2501。
対象は既存住宅でも新築住宅でもOK(戸建ての専用住宅)。事業所も対象です。
ただし最初に、いちばん引っかかりやすいところを。定置型蓄電設備は「補助対象の太陽光発電設備と同時に設置すること」が条件。蓄電池だけを単独で入れる場合は対象外です。
「家に太陽光はもう載ってるから、蓄電池だけ足そう」という人には、この枠は使えません。ここを勘違いしたまま業者と話を進めると、あとで全部やり直しになります。
いくらもらえるのか
金額の決まり方が他の市町村と少し違うので、ていねいに書きます。
- 太陽光発電(個人):7万円/kW・上限5kW → 最大35万円
- 蓄電池(家庭用):(設備費+工事費)× 3分の1。ただし1kWhあたり15.5万円・4kWhまでが上限
太陽光の7万円/kWは、県の枠と同じ単価。かなり強気の設定です。
蓄電池のほうは「工事費込みの3分の1」と「1kWhあたり15.5万円×4kWh」の、低いほうが適用されると読むのが安全。4kWhまでという上限があるので、大きい蓄電池を入れても補助が青天井に増えるわけではありません。
受付は令和8年4月1日から。締切日ではなく予算がなくなった時点で終わる先着順です。
この事業は、令和9年度で終わります
ここが矢巾でいちばん大事な話かもしれません。
この補助は、令和5年度から9年度までの5年間に限って実施されているものです。環境省の交付金を使った期間限定の事業で、令和10年度以降に続く保証はありません。
つまり今年度を含めて、残りは実質2年。しかも毎年、予算が尽きた時点で締まります。
「来年でいいか」と思っている人がいたら、そこは考え直したほうがいい。来年があるかどうかは分かるけれど、その先は分からない。
もうひとつの落とし穴は「順番」
交付申請の決定通知がされた日以降でないと、事業に着手できません。
工事が始まってからでは通らない。良かれと思って業者が先に動いてしまうパターンが一番もったいないので、最初の打ち合わせで「補助金を使うので交付決定を待ってから着工してください」と宣言しておくのが確実です。
単体なら使えたはずの国の枠も、もう閉じている
矢巾の町の補助は太陽光とのセットが条件でしたが、「それなら蓄電池だけ国の枠で」と考えた人もいるはず。その国のDR家庭用蓄電システム導入支援事業(1申請上限60万円)も、2026年5月29日の予算到達ですでに公募終了しています。12月10日までの予定が、半年以上前倒しで閉まりました。
令和8年度補正が出るかどうかも、2026年9月時点で資源エネルギー庁・SIIのどちらからも発表はありません。今の矢巾で現実的に狙えるのは、町のセット補助と、新築なら県の枠。この2つに絞って考えたほうが早いです。
新築なら、町の補助に県の枠を上乗せできる
矢巾はもともと新築が多いまちなので、ここは相性がいい話です。町の「地域脱炭素移行・再エネ推進事業補助金」に加えて、県の「いわて省エネルギー住宅建設推進事業費補助金」も新築なら重ねて狙えます。蓄電池5.1万円/kWh×7kWh=上限35.7万円、太陽光は必須で上限35万円、断熱等性能等級6・7なら100万〜180万円が上乗せされ、合わせて最大257.3万円。受付は令和8年5月18日〜12月4日、県土整備部建築住宅課(019-629-5934)。岩手型住宅賛同事業者などの登録業者が建てることが条件なので、ハウスメーカーを決める前に登録の有無を確認してください。
3分の1補助でも、相見積もりの意味は消えない
矢巾の町の補助は「工事費×3分の1」という比率設計です。つまり工事費が高ければ、補助額も自己負担も両方大きくなる。比率補助だからこそ、元の工事費自体を複数社で比べる意味があります。
参考までに、閉じた国の制度には「12.5万円/kWhを超えると申請不可」という目標価格ルールがありました。4kWhなら50万円が感覚的な目安です。国の補助がもう使えない今も、業者の見積もりが相場からかけ離れていないかを見るものさしとしては使えます。
3分の1補助は、工事費そのものを比べないと意味が薄れます
同じ機種でも業者によって数十万円ちがいます。工事費が高ければ自己負担も比例して増えます。お住まいの地域の優良業者を最大5社まで無料で一括比較できます。見積もりだけの利用でもOKです。
▶ 蓄電池の無料一括見積もりはこちら新しい住宅地だからこそ、置き場所は設計段階で決める
矢巾町は面積約67.3km²、人口はおよそ2.6万人(矢巾町公式)。岩手医科大学附属病院の移転を機に、南矢幅駅周辺を中心に新しい住宅地が短期間で広がったまちです。盛岡のベッドタウンとして冬は内陸らしい冷え込みがあり、雪も積もります。
リチウムイオン蓄電池は寒さで一時的に性能が落ちます。屋内か風下の軒下に置く、動作下限温度をカタログで確認する、太陽光と同時設置が条件なので雪で発電しない日がある前提で容量を決める——基本は他の地域と同じです。ただ矢巾は新築率が高いので、設計段階で蓄電池の置き場所を決められる人が多い。後付け組より有利に進められるのは、新しいまちならではの利点です。
今日やること、3つだけ
- 町民環境課環境係(019-611-2501)に電話して、今年度の予算がまだ残っているか聞く。先着順なのでこれが一番早い
- 太陽光と蓄電池をセットで、複数社から見積もりを取る。蓄電池だけでは補助が使えない
- 交付決定が出るまで着工しない。順番を守る
矢巾は若い世帯が多いぶん、35年ローンと一緒に光熱費を長い目で考える人が多い。だからこそ、勢いで1社に決めず、同時設置・先着順・交付決定後の着工——この3つだけは押さえてほしい。残り2年の制度だということも、頭の片隅に置いておいてください。
※本記事は2026年9月時点で、矢巾町・岩手県・資源エネルギー庁およびSII(環境共創イニシアチブ)の公式情報を確認して書いています。補助金の金額・期間・条件は年度と予算で変わり、予算上限に達した時点で受付が終了します。申請前に必ず矢巾町公式ホームページ「自家消費型太陽光発電設備等設置事業補助金」で最新情報をご確認ください。問い合わせは矢巾町 町民環境課環境係(019-611-2501)、岩手県 建築住宅課(019-629-5934)へ。
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