東北電力「ナイト&ホリデー」は従量電灯Bより得か。11月の新単価で分かれ目を計算した【2026年10月時点】

ナイト&ホリデーの分かれ目は夜間・休日5割 電気代節約

東北電力の「よりそう+ナイト8」は、2023年3月31日で新規受付を終えています。いま新しく入れる夜間・休日割安のプランは、「よりそう+ナイト&ホリデー」のほうです。

11月1日に単価が改定されます。従量電灯Bのままでいいのか、替えたほうが得なのか。そこに蓄電池を足したら、年にいくら動くのか。公式の単価表を自分で引いて、計算し直してみました。

先にお断りしておくと、うちで申し込んで試した話ではありません。公式の数字から出した試算です。前提は全部書くので、ご自宅の暮らしに置き換えて読んでください。

先に答え(試算)

  • ナイト&ホリデーが従量電灯Bより安くなる分かれ目は、使った電気のうち「夜間・休日」が占める割合でおよそ5割(月200〜450kWhなら48〜53%)。
  • 蓄電池を足したときの上乗せは、容量6kWh・往復効率90%の前提で年に最大約2.9万円。容量1kWhあたりに直すと、年約4,800円が頭打ち。
  • 皮肉な結果ですが、プランで得をする家ほど、蓄電池の出番は小さい。

ナイト8は終わっている。いま入れるのは「ナイト&ホリデー」

東北電力の公式ページでは、ナイト&ホリデーを「夜間・休日の使用割合が多いお客さま向けの料金プラン」と紹介しています。2026年10月22日の時点で、同じページに新規受付の終了案内は見当たりません。

時間帯の決まりを先に押さえておきます(東北電力公式)。

  • 平日昼間:休日を除く日の8時〜22時
  • 平日夜間:休日を除く日の22時〜8時
  • 休日:土曜・日曜・祝日、1/2・1/3・1/4、4/30・5/1・5/2、12/29〜12/31

平日は22時までが「昼間」扱いです。夕食も、お風呂あがりの洗濯も、全部高い側に入ります。ここが後で効いてきます。

11月1日からの新単価を、従量電灯Bと並べてみた

東北電力が2026年9月28日に公表した「電気料金単価一覧表(2026年11月1日実施)」から、見直し後の単価だけを抜き出しました(税込、2026年10月22日に原本のPDFで確認)。

項目 従量電灯B ナイト&ホリデー
基本料金 30A/3kVA以下 1,232円13銭 1,232円13銭
基本料金 40A/4kVA 1,642円84銭 1,642円84銭
基本料金 50A/5kVA 2,053円55銭 2,383円55銭
基本料金 60A/6kVA 2,464円26銭 3,124円26銭
電力量料金 1段目 〜120kWh 31円01銭 平日昼間 〜60kWh 36円28銭
電力量料金 2段目 120〜300kWh 37円76銭 平日昼間 60〜140kWh 45円04銭
電力量料金 3段目 300kWh超 41円71銭 平日昼間 140kWh超 51円60銭
夜間・休日 (時間帯の区別なし) 1kWhにつき 28円59銭

出典:東北電力「電気料金単価一覧表(2026年11月1日実施)」https://www.tohoku-epco.co.jp/n_pdf/1248862_2-low_price.pdf(2026年9月28日公表、2026年10月22日確認)。ナイト&ホリデーは同表の「低圧電気供給実施要綱のご契約プラン」欄に載っています。

見て、ちょっと意外でした。30A・40Aの基本料金は、2つのプランで同額なんですよね。差がつくのは電力量料金だけ。

しかもナイト&ホリデーは、昼の段階が60kWhと140kWhで区切られています。従量電灯Bの120kWhと300kWhより、ずっと早く高い段に上がる設計です。

分かれ目は「夜間・休日が5割」だった

月350kWh使う家を例に、夜間・休日の割合だけを動かして電力量料金を比べました。基本料金が同額の契約(30Aまたは40A)の場合です。

夜間・休日の割合 平日昼間 夜間・休日 ナイト&ホリデーの電力量料金 従量電灯Bとの差(月)
30% 245kWh 105kWh 約14,200円 1,596円高い
40% 210kWh 140kWh 約13,395円 791円高い
50% 175kWh 175kWh 約12,589円 14円安い
60% 140kWh 210kWh 約11,784円 820円安い
70% 105kWh 245kWh 約11,208円 1,395円安い

従量電灯Bの電力量料金は、350kWhで約12,604円です。本記事独自の試算で、燃料費調整額・再エネ賦課金は含みません(理由は後述)。

ちょうど5割のところで、ほぼ引き分け。5割を割ると、月に数百円から1,000円台で高くつきます。5割を超えると、じわじわ安くなる。

月の使用量を変えても、分かれ目はあまり動きません。月200kWhで約53%、250kWhで約51%、450kWhで約48%。だいたい5割、と覚えておけば足ります。

値上げの前でも後でも、分かれ目は同じ

ちなみに、いまの単価(2026年10月まで)で同じ計算をしても、月350kWhの分かれ目は約49.8%。11月の新単価でも約49.8%。どちらのプランも1kWhあたり1円30〜50銭ほど上がるだけなので、勝ち負けの線は動きません。

値上げが怖くて替える、という話ではないんですよね。判断の材料は、あくまで自分の電気の使い方です。

電気を均等に使えば6割。でも現実は夕方に偏る

2027年の平日(祝日・年末年始などを除く)は240日です。内閣府の祝日一覧とプランの休日定義で数えました。平日昼間は14時間なので、年3,360時間。1年8,760時間のうち、約38%にあたります。

つまり、24時間ずっと同じペースで電気を使う家なら、夜間・休日の割合は約62%。ナイト&ホリデーが有利です。

ただ、実際の家は朝夕に使いますよね。平日の夕方から22時までが高い側に入るので、5割を切る家も普通にありそうです。

従量電灯Bの検針票には、昼と夜を分けた使用量は載っていません。自分の割合を知るには、東北電力のシミュレーションを使うことになります。公式ページは、「よりそうeねっと」か料金プランのお問い合わせ窓口で受け付けると案内しています。

5kVA・6kVAは、基本料金が上がる

表のとおり、50Aと5kVAでは月330円、60Aと6kVAでは月660円、ナイト&ホリデーのほうが基本料金が高くなります。その分、分かれ目は上へずれます。

月の使用量 30A・40A(3〜4kVA) 50A・5kVA 60A・6kVA
200kWh 約53% 約63% 約76%
350kWh 約50% 約54% 約58%
450kWh 約48% 約52% 約55%

月200kWhで6kVAだと、夜間・休日が8割近くないと元が取れません。オール電化や、同時に電気をたくさん使う家は、この表を見落とさないでください。

燃料費調整と賦課金は、どちらにも同じだけ乗る

請求書には、ここまでの単価のほかに燃料費等調整額と再エネ賦課金が乗ります。2026年11月分の燃料費等調整単価は、低圧で1kWhあたり▲6円29銭(東北電力、2026年10月22日確認)。

10月分の▲10円14銭から3円85銭上がりましたが、うち3円50銭は国の電気料金支援の終了分です。10月分の単価に、その軽減額が含まれていました。

再エネ賦課金は、2026年5月分〜2027年4月分で1kWhあたり4円18銭(東北電力、2026年10月22日確認)。どちらも使った量に比例し、時間帯では変わりません。なので、2つのプランの優劣は動きません。

ただし一点だけ。ナイト&ホリデーは、燃料費調整単価の算定に使う平均燃料価格に上限がありません。燃料価格が大きく上がった月は、従量電灯Bより調整単価が高くなると、公式ページに書かれています。

2026年11月分は、規制部門も自由化部門も▲6円29銭で同じ値でした。いまのところ、この差は出ていません。

岩手の冬、夜の暖房は味方になるのか

公式ページが挙げている向いている人のイメージに、こんな一文があります。「冬の間、就寝中もエアコンをお使いになっている方」。寒冷地に当てはまりそうな話です。

夜の暖房が増えれば、夜間・休日の割合は上がります。土日祝に家で暖房をつけっぱなしにする家も、同じく有利な側です。逆に、平日の夕方から22時まで暖房を回す家は、その時間が高い側に入ります。

もう一つ、岩手ならではの注意点があります。灯油ストーブが主役の家は、そもそも電気の月間使用量が少なめになりがちです。月150kWhだと、基本料金が同額でも分かれ目は約56%まで上がります。使う量が小さいほど、5割の壁は高くなるわけです。

正直、岩手の家で夜と昼の比率がどのくらいなのか、実測データは見つけられていません。冬だけ割合が高くなる家もあれば、1年通すと5割に届かない家もあるはずです。灯油とエアコンの損得は別の記事で計算しているので、暖房の組み立てを考えるときはそちらもどうぞ。

ここに蓄電池を足すと、いくら動くのか

ここからが本題です。夜間・休日の28円59銭で貯めて、平日の昼間に使う。ナイト8のときと同じ発想ですね。

違うのは、土日祝は一日中安いこと。貯めて使い分ける意味があるのは、平日の8時〜22時だけです。

置いた前提は次のとおりです。

  • 月の使用量は350kWhで固定。基本料金が同額の契約(30A/3kVAまたは40A/4kVA)
  • 蓄電池の使える容量は6kWh。平日(年240日、月平均20日)は毎日使い切る
  • 充放電の往復効率は90%(仮定。機種で違います)
  • 太陽光なし。待機電力・経年劣化は無視(実際はもう少し小さくなります)
  • 放電した分は、平日昼間の一番高い段から順に消えていく
  • 蓄電池の価格・工事費は、この計算には入れていない

平日昼間にどれだけ使う家かで、結果はこうなりました。

平日昼間の使用量(月) ナイト&ホリデーにするだけ(従量電灯B比・年) 蓄電池で上乗せ(年) 合算(年) 蓄電池分の15年合計
80kWh(日中ほぼ留守) 約21,700円安い 約6,400円 約28,100円 約9.7万円
100kWh 約17,700円安い 約9,600円 約27,400円 約14.4万円
175kWh(夜間・休日が5割) ほぼ同額 約21,300円 約21,500円 約32.0万円
250kWh(夜間・休日が3割弱) 約20,500円高い 約27,800円 約7,200円 約41.7万円

いずれも本記事独自の試算です(単価は2026年11月1日実施分、東北電力公式)。

往復効率を85〜100%に振ると、175kWhの家の上乗せは年1.9万〜2.6万円になります。

プランが得な家ほど、蓄電池の出番がない

表を縦に読んでみてください。

平日の昼間に電気を使わない家は、ナイト&ホリデーに替えるだけで年2万円近く安くなります。でも、その家は昼に使う電気が少ないので、蓄電池が動かせる量も少ない。上乗せは年6,400円です。

逆に、平日昼間にたくさん使う家は、蓄電池が活きる。でも、そういう家はプラン変更で損をします。250kWhの行を見ると、蓄電池で年2.8万円稼いでも、プランで年2万円以上を失って、合算は年7,200円です。

プランと蓄電池が同時に効く家は、ほとんどない。計算してみて、自分がいちばん意外だったのはここでした。

順番を決めるなら、プランが先です。プラン変更は契約の話で、数十万円の買い物ではありません。蓄電池は、プランを決めたあとに、残った昼間の使用量を見て考える話です。

見積書の総額を「容量で割る」と、15年の上限が見える

蓄電池は、容量を増やしても1kWhあたりの稼ぎに天井があります。

夜間・休日の28円59銭で入れて、平日昼間の最上段51円60銭の電気を置き換える。往復効率90%だと、1kWhあたりの差は約19.8円です。これに年240日をかけると、容量1kWhあたり年約4,760円。15年で約7.1万円。

効率を85〜100%に振っても、年約4,300〜5,500円、15年で約6.5万〜8.3万円の範囲です(本記事独自の試算)。

この天井に届くのは、平日昼間の使用が月260kWh以上あって、電池が毎日フルに動く家だけです。そういう家はプランで年2万円以上損をするので、現実にはまず当てはまりません。

目安として、見積書の「本体+工事費の合計 ÷ 蓄電池の容量(kWh)」を出してみてください。約7万円を超えていたら、最良のケースでも、電気代の差だけで15年では回収できません。割引率も、故障も、交換も入れていないので、実際はもっと厳しくなります。

補助金で埋めようにも、国の家庭用蓄電池補助(令和7年度補正 家庭用蓄電システム導入支援事業、通称DR補助金)は、2026年5月29日に交付申請額が予算に達して公募が終わりました(SII公式サイト、2026年10月22日確認)。今後の再公募については、未確認です。補助を見込んだ計算は、いまはできません。

ただし、これは電気代だけの話です。停電のときに冷蔵庫が何時間動くか、という価値は別枠。太陽光がある家は、昼の電気を買わずに済むので計算が別物になります。氷点下での使い勝手はこちら、停電時の話はこちらに書きました。

申し込む前に、窓口で聞いておきたい3つ

  1. 自分の「夜間・休日の割合」:時間帯別の使用量でシミュレーションしてもらえるか。5割より下なら、見送りが無難です。
  2. 従量電灯B・Cから切り替えると変わる取扱い:公式ページに、「シミュレーション上は料金がお安くなる場合であっても、条件によってはお安くならない場合がございます」とあります。条件として挙がっているのは、燃料費の著しい高騰で燃料費等調整単価が従量電灯B・Cの上限を超える場合と、従量電灯B・Cで制限または中止の料金割引(1日延べ1時間以上の停電等が生じた場合)が行われる場合。もう一つは、次の3番目です。
  3. 支払い方法:振込用紙での支払いを希望すると、書面発行手数料(税込110円/月)がかかる場合があります。年1,320円。分かれ目ぎりぎりの家では、これで逆転します。

契約条件の細部は、必ず東北電力に確認してください。ここに書いたのは、公式ページと単価表から読み取れる範囲です。

まとめ:まずプラン、蓄電池はそのあと

ナイト&ホリデーが従量電灯Bより安くなる分かれ目は、夜間・休日の割合でおよそ5割。5kVA以上は、少し上へずれます。

蓄電池を足した上乗せは、6kWh・効率90%の前提で年最大約2.9万円。容量1kWhあたり年約4,800円が頭打ちで、15年なら約7.1万円です(試算)。見積書の総額を容量で割って、この数字と並べてみてください。

自分の割合が分からないうちは、計算が始まりません。先に窓口でシミュレーションを頼んで、昼と夜の割合を出してもらう。蓄電池の見積もりは、そのあとで十分です。

蓄電池の無料一括見積もりを見てみる【タイナビ蓄電池】見積書の「総額÷容量(kWh)」を、本文の約7万円/kWhと並べて見るための材料に

※単価・時間帯・契約条件は東北電力公式の単価表・ページ(2026年10月22日確認)、再エネ賦課金は東北電力公式ページ掲載の単価(国が決定)に基づきます。2027年の祝日は内閣府公表の「国民の祝日」一覧で確認しました。表の金額は本記事独自の試算で、実際の請求額とは異なります。当ページにはアフィリエイト広告が含まれます。

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電気代節約
この記事を書いた人
くまがい

岩手県在住。冬の電気代の高さに頭を抱えて、蓄電池と太陽光を本気で調べ始めた一般家庭の当事者です。メーカーや販売店とは無関係なので売り込みはなし。自作の蓄電池シミュレーターと電卓片手に、「うちの場合は得なのか」を数字で確かめながら書いています。

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