先々週の記事で東北電力の11月値上げを書いたとき、実はもう一つ気になっていたことがありました。「国の電気・ガス補助、たしか今年の夏も出てたよな。あれっていつまでだったんだっけ」ということ。調べてみたら、ちょうど同じ11月の請求から、値上げと補助終了が重なるタイミングだとわかりました。うちの検針票がやたら上がって見える理由は、どうやら一つじゃなさそうです。
どちらも公式発表の数字をそのまま並べて、標準的な家庭でいくら増えるのか計算してみます。
- 国の「電気・ガス料金支援」は2026年9月使用分(10月検針分)で終了。10月使用分(11月請求分)からは、1kWhあたり3円50銭の値引きがなくなります(資源エネルギー庁、2026年9月時点)。
- 東北電力は同じ11月1日に、託送料金の変更分を反映した値上げも実施。標準家庭(従量電灯B・30A・260kWh/月)で485円増(東北電力公式、2026年9月28日発表)。
- この二つを足すと、標準家庭では月1,395円前後の増加(補助終了分910円+託送料金分485円、本記事独自の試算)。地元紙が報じた実額(1,486円・+18.1%)とはおおむね近い数字です。
- 都市ガスの補助も同時に終了しますが、プロパンガス(LPガス)はそもそも対象外。岩手は都市ガスの供給エリアが限られているため、関係ない家庭も少なくないはずです。
終わるのは「国の補助」。夏の3か月だけの時限措置だった
電気・ガス料金支援という名前、聞き覚えはあっても、いつからいつまでだったか正確に覚えている人は少ないと思います。うちも調べ直すまで曖昧でした。
対象期間は2026年7月使用分(8月検針分)から9月使用分(10月検針分)まで。電気は低圧契約で1kWhあたり、7月と9月が3円50銭、8月だけ4円50銭の値引きでした。
| 使用分 | 電気(低圧) | 都市ガス |
|---|---|---|
| 7月使用分 | 3円50銭/kWh | 14円00銭/㎥ |
| 8月使用分 | 4円50銭/kWh | 18円00銭/㎥ |
| 9月使用分 | 3円50銭/kWh | 14円00銭/㎥ |
出典:資源エネルギー庁「電気・ガス料金支援」(2026年10月確認)。この値引きは10月使用分からは適用されません。申請不要で検針票に自動で反映される仕組みだったので、終わることにも気づきにくいのが正直なところです。
10月以降の再開については、経済産業大臣が「現時点において10月以降も支援が必要であるとは考えていない」とのコメントを出しています(2026年9月時点の報道)。燃料価格や物価の動き次第で今後また検討される可能性はありますが、この記事を書いている2026年10月時点では、再開の発表はありません。
同じタイミングで、東北電力も値上げする
前回の記事で書いた内容ですが、ここでも改めて整理します。東北電力は送配電会社に払う「託送料金」が2026年11月1日から変わることを受けて、電気料金を見直すと発表しました(東北電力公式、2026年9月28日公表)。
標準的な家庭(従量電灯B・契約30A・月260kWh使用)の場合、見直し前と比べて485円増(+5.9%)。これは国の補助終了とは完全に別の理由で、託送料金という「電気を運ぶための道路使用料」が上がった分です。
対象は従量電灯B・Cだけでなく、「よりそう+ナイト8」や「よりそう+ナイト&ホリデー」などの低圧自由料金プランも同様に見直されます。契約プランを問わず、東北電力管内であれば基本的に影響を受けると考えておいたほうがいいと思います。
二つ合わせると、11月請求はいくら増えるのか
ここが一番知りたいところだと思うので、標準家庭(260kWh/月)の仮定で、うちの手元の数字を使って計算してみます。
補助終了分:260kWh × 3円50銭 = 910円増
託送料金分(公式試算):485円増
合計:約1,395円増
この「約1,395円」は、国の補助単価×東北電力の標準モデル使用量を使った本記事独自の試算です。地元紙(東奥日報、2026年9月30日報道)が報じた実額は1,486円増・+18.1%でした。91円ほどのズレがありますが、燃料費調整額の算定時点や再エネ賦課金の扱いなど前提が少し違うためで、どちらかが間違っているわけではありません。だいたいこのくらいの増え方になる、という目安として見てもらえればと思います。
使用量が260kWhより多い家庭ほど、補助終了分の910円は単純に増えます。400kWh使う家なら、補助終了分だけで1,400円。託送料金分485円を足すと、合計はおそらく1,900円近くまで膨らみます。
都市ガスも同時に終了。ただし岩手はLPガスの家庭が多い
都市ガスの補助も電気と同じタイミングで終了します。9月使用分まで1㎥あたり14円(8月だけ18円)引かれていたのが、10月使用分からはなくなるという仕組みです。
ただ、これは都市ガスを使っている家庭だけの話。プロパンガス(LPガス)はそもそも今回の補助の対象外でした。LPガスの原料(プロパン)は都市ガスの原料(LNG)より価格が安定していて、国の負担緩和策の枠に入っていなかったためです。
岩手県内で都市ガスが使えるのは、盛岡・滝沢・矢巾(盛岡ガス、約4.6万世帯・2022年時点)、花巻(花巻ガス)、奥州(水沢ガス)、一関(一関ガス)、釜石(釜石ガス)などに限られます。供給エリアが限られている分、県内の多くの家庭はもともとLPガスを使っていて、今回のガス補助とは関係がなかったことになります。心当たりがある人は、まず検針票かガス会社の契約プランを確認してみてください。
値上げが重なるほど、自分でまかなう分の価値は上がる
ここまでは値上げの「原因」を分けて見てきました。最後に、蓄電池・太陽光の話に少しだけつなげておきます。
補助がなくなるぶんも、託送料金が上がるぶんも、買う電気の単価が実質的に上がるという点では同じ方向です。前回計算した夜間充電の差額は正直ほぼ変わりませんでしたが、太陽光の自家消費のように「そもそも買わない」部分は、単価が上がった分がそのまま得に変わります。
補助があった3か月は、値上げの痛みが少し隠れていた期間だったとも言えます。その隠れていた分も含めて、11月からは素の単価で請求が来る。だからこそ、自宅の使用量と太陽光・蓄電池の有無で、どれだけ影響が変わるのかを一度確認しておく価値があると思います。容量や費用は家庭ごとに違うので、気になる場合は無料の見積もりで具体的な数字を出してもらうのが確実です。
まとめ:11月の値上げは「補助終了」と「託送料金」の二階建て
2026年11月の請求が上がって見える理由は一つではありません。まず、夏の3か月だけだった国の電気・ガス料金支援が9月使用分で終了し、1kWhあたり3円50銭の値引きが消えます。同じタイミングで、東北電力が託送料金の変動分を反映した値上げも実施し、標準家庭で485円増。
二つを合わせると、標準家庭で月1,395円前後。使用量が多い家ほど、補助終了分の影響はさらに大きくなります。都市ガスも同時に補助が切れますが、岩手はLPガスの家庭が多く、そもそも関係がないケースも少なくありません。
原因が二つ重なっているからこそ、検針票の内訳欄を一度ちゃんと見てみる。それだけで、何が上がったのかはだいぶはっきりすると思います。
※電気・ガス料金支援の値引き単価は資源エネルギー庁「電気・ガス料金支援」(2026年10月確認)に基づきます。東北電力の値上げ額は東北電力公式「電気料金単価一覧表(2026年11月1日実施)」(2026年9月28日公表)に基づきます。合計約1,395円は本記事独自の試算(260kWh×3円50銭+485円)で、実際の請求額は使用量・燃料費調整額・再エネ賦課金により変わります。地元紙報道の実額(1,486円・+18.1%)は東奥日報2026年9月30日の記事を出典とします。岩手の都市ガス供給世帯数は各ガス会社公式情報(2022年時点)に基づきます。
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