先週、東北電力の値上げについて記事を書きました。そのとき自分の中に一つ疑問が残ったんですよね。「値上げで買う電気が高くなるなら、蓄電池を持ってる家は前より得するはず。でも、具体的に何円増えるんだろう」と。
うちはナイト8の契約で、夜に蓄電池を満タンにして昼に使う生活をしています。だから他人事じゃない。公式の新単価を使って、自分の手で計算してみました。結果は、正直ちょっと拍子抜けするものでした。
- 東北電力「よりそう+ナイト8」は2026年11月1日から、夜間・昼間ともに1kWhあたり約1円30〜1円43銭の値上げ(東北電力公式「電気料金単価一覧表(2026年11月1日実施)」、2026年9月28日公表)。
- 夜に貯めて昼に使う「差額」自体は、1kWhあたり0円14銭しか増えません。昼も夜も同じくらい値上げしたからです。
- 一方で基本料金は月246円66銭〜411円10銭の値上げ。蓄電池の有無にかかわらず、これは全員にかかります。
- 値上げで本当に価値が増えるのは、夜間充電の差額よりも、太陽光の自家消費(昼の単価がそのまま1kWh1円43銭増える側)のほうです。
値上げ後、夜と昼の単価差はいくらになったのか
ナイト8は、夜間(23時〜7時)が安く、昼間は使用量に応じて3段階で高くなる仕組み。蓄電池で得をする理屈はシンプルで、「夜の安い電気を貯めて、昼の高い時間に使う」。この夜と昼の差額が、そのまま得になります。
東北電力が公表した新旧単価を並べると、こうなります。
| 時間帯 | 現行単価 | 見直し後単価 | 値上げ幅 |
|---|---|---|---|
| 夜間(23時〜7時) | 27円64銭 | 28円93銭 | +1円29銭夜間 |
| 昼間・最初90kWhまで | 31円17銭 | 32円60銭 | +1円43銭 |
| 昼間・90〜230kWh | 39円21銭 | 40円64銭 | +1円43銭 |
| 昼間・230kWh超 | 43円91銭 | 45円34銭 | +1円43銭 |
出典:東北電力「電気料金単価一覧表(2026年11月1日実施)」(2026年9月28日公表、2026年10月確認)。この表は前回の値上げ記事と同じ出典です。
ここで、夜と昼の「差額」を現行と見直し後で引いてみます。
| 昼の段階 | 現行の差額(昼−夜) | 見直し後の差額 | 差額の増加 |
|---|---|---|---|
| 最初90kWhまで | 3円53銭 | 3円67銭 | +0円14銭 |
| 90〜230kWh | 11円57銭 | 11円71銭 | +0円14銭 |
| 230kWh超 | 16円27銭 | 16円41銭 | +0円14銭 |
見ての通り、どの段階でも増加幅はきっかり0円14銭。これは当然で、夜が1円29銭、昼が1円43銭、同じように値上げされたので、差額の増え方はその差分(1円43銭−1円29銭)にしかならないからです。昼間だけ特別に高くなった、というわけではありませんでした。
基本料金も上がる。これは蓄電池があっても避けられない
単価の話とは別に、基本料金そのものも値上げの対象です。
| 契約区分 | 現行 | 見直し後 | 値上げ幅 |
|---|---|---|---|
| 主開閉器契約・6kVA以下 | 1,667円60銭 | 1,914円26銭 | +246円66銭/月 |
| 主開閉器契約・6kVA超〜10kVA | 2,376円00銭 | 2,787円10銭 | +411円10銭/月 |
出典:同じく東北電力公式の単価一覧表(2026年10月確認)。この基本料金の値上げ幅、月246円〜411円は、蓄電池の有無や使い方とは関係なく、契約している以上は全員にかかってきます。正直、ここが一番わかりやすい値上げの実感だと思います。
差額で計算:蓄電池の「得」は月いくら増えるのか
ここからは仮の数字を使った計算です。うちのように、蓄電池で1日7kWh分を「夜に貯めて昼に使う」サイクルを回している家を例にします(容量や使い方は家ごとに違うので、ここは必ずご自宅の数値に置き換えてください)。
7kWh × 0円14銭 × 30日 = 月42円
7kWh × 0円14銭 × 365日 = 年間約358円
……これだけです。月42円。正直、「値上げで蓄電池の価値が上がる」という話を自分でも前回の記事で書いた手前、もう少し増えるものだと思っていました。計算してみたら、基本料金の値上げ分(月246円〜411円)のほうが、よっぽど大きい。蓄電池を持っていても持っていなくても、基本料金の値上げからは逃げられないということです。
正直な結論:効くのは夜間充電より、太陽光の自家消費
なぜ夜間充電の「得」はほとんど増えないのに、太陽光の自家消費は違うのか。理由は単純で、太陽光がある家は昼の電気をそもそも買わずに自分でまかなうので、値上げの影響をそのまま1kWhあたり1円43銭、丸ごと受け取れるからです。夜の単価は関係してきません。
これは岩手で太陽光は元が取れるのかの記事でも触れた「売る単価は変わらず、買う単価だけ上がる」構図とも重なります。買わずに自分で使う部分が多い家ほど、今回の値上げの恩恵(という言い方も妙ですが)を大きく受けるということです。
ナイト8だけで夜間充電している家は、昼と夜が両方値上げされたぶん、差額という意味での伸びはほぼありません。すでにナイト8×蓄電池を使っている人への結論としては、「値上げで蓄電池の得が急に増える」は期待しすぎない方がいい、というのが正直なところです。
じゃあ、何を見ればいいのか
今回の計算でわかったのは、値上げの影響は「基本料金」と「単価」で性質がまったく違うということでした。
- 基本料金の値上げ(月246円〜411円)は、使い方を変えても避けられない固定コスト
- 夜間充電の差額の増加(月42円程度)は、正直誤差に近い
- 太陽光がある家の自家消費価値(1kWhあたり1円43銭)は、使用量が多いほど効いてくる
蓄電池の導入を迷っている人にとって大事なのは、「値上げするたびに蓄電池の得が跳ね上がる」という話ではなく、「自宅の昼の使用量と、太陽光の有無」で損得が決まるという、地味な事実のほうだと思います。実際の容量や費用は家庭ごとに変わるので、気になる場合は無料の見積もりで具体的な数字を出してもらうのが確実です。
まとめ:値上げで増えるのは基本料金、差額はほぼ変わらない
東北電力の11月の値上げで、ナイト8の夜間単価は27円64銭から28円93銭、昼間は段階ごとに31円17銭〜43円91銭から32円60銭〜45円34銭に上がります。夜と昼の差額という意味では、増えるのはどの段階でも1kWhあたり0円14銭だけ。仮に1日7kWh分を夜に貯めて昼に使うとしても、月42円ほどの増加にしかなりません。
むしろ目立つのは基本料金の値上げで、こちらは月246円〜411円。蓄電池を持っていても、使い方を工夫しても、ここは変えられません。
「値上げ=蓄電池がもっと得になる」というのは、半分正解で半分は言い過ぎでした。正直に数字を並べると、そういう結論になります。
※単価・基本料金は2026年11月1日実施の東北電力公式「電気料金単価一覧表」(2026年9月28日公表、2026年10月確認)に基づきます。差額計算(1日7kWh・30日/365日)は本記事独自の仮定であり、実際の金額は蓄電池の容量・充放電効率・家庭ごとの使用量により変わります。再エネ賦課金・燃料費調整額は別途毎月加算されます。
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