「岩手で太陽光なんて、雪で発電しないでしょ」
何度か言われました。自分も、最初はそう思っていた。
ただ、実際に数字を見たら、思っていたのとだいぶ違いました。岩手の発電量は、全国平均の93%。落ちるのは事実ですが、想像していたほどじゃない。
2026年度から売電のしくみも変わったので、あわせて計算しました。
岩手の日照時間は、全国平均の88%
盛岡の年間日照時間は1,687.7時間(平年値)。全国平均は1,908.6時間です。
比率にすると88%。1割ちょっと少ない。
ところが発電量で見ると、差はもう少し縮まります。
| 岩手 | 全国平均 | 比率 | |
|---|---|---|---|
| 年間日照時間 | 1,687.7時間 | 1,908.6時間 | 88% |
| 1kWあたり年間発電量 | 約1,130kWh | 約1,215kWh | 93% |
日照が88%なのに、発電は93%。差が縮まっているのには理由があります。
太陽光パネルは暑いと発電効率が落ちる。真夏の南国より、涼しい土地のほうが1時間あたりの発電効率は良い。岩手の夏は本州の中では涼しいほうなので、そのぶんを取り返している格好です。
もうひとつ。盛岡は冬の日照が東北の中では長い。日本海側は冬にどんよりした日が続きますが、内陸の岩手は晴れる日がそれなりにあります。
5kWで、年に5,650kWh
住宅用でよくある5kWを載せたとして、岩手だと年間5,650kWh。
一般家庭の年間使用電力量が4,000〜5,000kWhくらいなので、使う量より多く作れる計算になります。
ただし、作った電気を全部使えるわけじゃない。太陽が出ている昼間に発電して、電気を使うのは朝と夜。ここがずれる。
この「ずれ」が、2026年から急に大事になりました。
2026年度、売電のしくみが変わった
10kW未満の住宅用は、こうなっています。
- 1〜4年目:24円/kWh
- 5〜10年目:8.3円/kWh
「初期投資支援スキーム」という名前で、最初を手厚くして回収を早める設計です。
ここ、よく読んでください。5年目から3分の1になる。
つまり5年目以降は、売るより使ったほうが得。東北電力の電気を買うと1kWhあたり30円前後かかるので、8.3円で売って31円で買い戻すのは、どう考えても損です。
自家消費率で、10年のもうけが37万円変わる
作った電気のうち何割を自分で使うか。これを自家消費率といいます。計算しました。
| 自家消費率 | 自家消費分 | 売電分(1〜4年) | 10年の合計メリット |
|---|---|---|---|
| 30%(蓄電池なし) | 52,545円/年 | 94,920円/年 | 約110万円 |
| 50% | 87,575円/年 | 67,800円/年 | 約129万円 |
| 70%(蓄電池あり) | 122,605円/年 | 40,680円/年 | 約147万円 |
30%と70%で、10年の差が37万円。
太陽光だけだと、昼に作った電気は売るしかない。自家消費率は30%前後にとどまります。蓄電池を入れると、昼の余りを夜に回せるので、ここが50〜70%まで上がる。
「蓄電池は高い」と言われますが、2026年度以降に太陽光を載せるなら、蓄電池は”おまけ”ではなく本体側です。5年目から売電が8.3円になる以上、貯めて使わないと取りっぱぐれる。
同じ機種でも、業者によって数十万円ちがいます
岩手で太陽光・蓄電池を扱う業者は複数あります。1社だけで決めると相場が分からず高値づかみに。お住まいの地域の優良業者を最大5社まで無料で一括比較できます。見積もりだけでもOK。
▶ 太陽光・蓄電池の無料一括見積もりはこちら雪の日は、正直どうなのか
ごまかさずに書きます。パネルに雪が積もっている間は、ほぼ発電しません。
ただ、住宅用のパネルは20〜30度の角度で設置されるので、日が差せば雪は自然に滑り落ちます。岩手の内陸は日本海側ほど降り続かないので、積もりっぱなしになる期間は限られる。
それでも冬の発電量は落ちます。年間1,130kWhという数字には、その落ち込みがすでに織り込まれていると考えてください。冬に稼げないぶんを、春と秋が埋める。
気をつけるべきは発電量より雪の落ち先です。玄関先や隣家との境界にドサッと落ちると危ない。雪止めの位置は、設計のときに必ず相談してください。
まとめ
- 岩手の日照時間は全国の88%、発電量は93%。思ったほど落ちない
- 5kWで年5,650kWh。一般家庭の使用量より多い
- 2026年度の売電は1〜4年目24円、5〜10年目8.3円
- 5年目から売るより使ったほうが得になる
- 自家消費率30%と70%で、10年の差は37万円
「雪国だから無理」は、少なくとも数字の上では当たっていませんでした。ただし載せ方を間違えると損をするのは本当です。
2026年度以降は、太陽光だけ載せて売る時代じゃない。貯めて使う前提で設計する。ここを外さなければ、岩手でも十分に成立します。
お住まいの市町村の補助金は、岩手の光熱費をまとめた記事の後半から地域別に見られます。
※日照時間は気象庁の平年値、発電量は一般的な試算値、FIT価格は2026年度の調達価格に基づく2026年時点の整理です。実際の発電量は屋根の向き・角度・影・パネルの種類で変わります。買電単価は東北電力の従量電灯Bの高い段階を想定した概算です。
あわせて読みたい
▶ 岩手の光熱費は月いくら?全国平均と比べたら、灯油だけが3倍だった【2026年】
▶ 岩手の冬、蓄電池は本当に使える?氷点下で暮らす自分が正直に検証【2026】


コメント