【2026年版】卒FIT後どうする?売電を続ける vs 蓄電池で自家消費、どっちが得か

蓄電池

「うちの太陽光発電、もうすぐ10年になるけど、固定買取が終わったらどうなるの?」

そんな不安を抱えている方が増えています。2019年に最初の「卒FIT」が始まって以来、すでに累計200万件以上の家庭が固定価格買取期間の満了を迎えました。

卒FIT後は、それまで48円や42円で売れていた電気が、一気に7〜9円程度まで下がります。何も対策をしなければ、売電収入は大幅に減ってしまうのが現実です。

でも、安心してください。卒FIT後の選択肢は「売電を続ける」だけではありません。蓄電池を導入して自家消費に切り替えることで、売電単価の下落以上のメリットを得られるケースが多いのです。

この記事では、卒FIT後の売電価格がいくらになるのか、3つの選択肢のメリット・デメリット、そして蓄電池で自家消費したほうがお得な理由まで、具体的な数字で解説します。


そもそも「卒FIT」とは?

卒FITとは、太陽光発電のFIT制度(固定価格買取制度)の買取期間が満了することを指します。

FIT制度は、2009年に住宅用太陽光発電を対象に始まりました。制度の仕組みはシンプルで、太陽光発電で作った余剰電力を、国が定めた固定価格で10年間、電力会社が買い取ってくれるというものです。

たとえば、2009〜2010年に太陽光発電を設置した家庭は、1kWhあたり48円という高い単価で売電できていました。2012年度に設置した場合は42円、2015年度は33円と、年度ごとに買取価格は下がりましたが、それでも電気料金単価(当時20〜25円程度)を大きく上回る水準でした。

卒FIT件数の推移

年度 卒FIT件数(累計) 補足
2019年11月 約53万件 初の卒FIT(通称「2019年問題」)
2020年〜2023年 約165万件 毎年約20〜30万件ずつ増加
2024年〜2026年 累計200万件超 FIT初期の設置者がほぼ卒業

つまり、すでに200万件以上の家庭が「固定価格で売電できる時代」を終えており、今後も毎年20万件以上が卒FITを迎える見込みです。

ここで重要なのは、FIT期間が終了しても太陽光パネル自体は使い続けられるという点です。太陽光パネルの寿命は25〜30年以上あるため、10年のFIT期間が終わってもまだ15〜20年は発電し続けます。

問題は、その発電した電気をどう活用するかです。


卒FIT後の売電価格はいくら?大手電力会社の買取価格一覧

FIT期間が終了すると、固定価格での買取は終了します。しかし、発電した電気が余った場合、電力会社が自主的に「余剰電力」として買い取ってくれる制度があります。

ただし、その買取価格は、FIT期間中とは比べ物にならないほど低くなります。

大手電力会社の卒FIT買取価格(2026年時点)

電力会社 買取価格(税込)
東北電力 9円/kWh
東京電力EP 8.5円/kWh
中部電力ミライズ 7〜12円/kWh(プランによる)
関西電力 8円/kWh
中国電力 7.15円/kWh
四国電力 7円/kWh
九州電力 7円/kWh
北海道電力 8円/kWh
北陸電力 8円/kWh
沖縄電力 7.7円/kWh

FIT期間中に42〜48円で売れていた電気が、7〜9円に下がるわけです。年間の発電量が4,000kWhの家庭で計算すると、影響の大きさがわかります。

【売電収入の変化(年間4,000kWh発電、うち半分を売電の場合)】

期間 売電単価 年間売電量 年間売電収入
FIT期間中(例: 42円) 42円/kWh 2,000kWh 84,000円
卒FIT後(例: 8.5円) 8.5円/kWh 2,000kWh 17,000円

差額は年間67,000円。10年間で67万円の収入減になります。

この数字を見て「何か手を打たないと…」と感じる方が多いのは当然です。では、具体的にどんな選択肢があるのか見ていきましょう。


卒FIT後の3つの選択肢

卒FIT後の対応は、大きく分けて3つあります。それぞれのメリット・デメリットを整理します。

選択肢1: 新電力に売電を続ける

大手電力会社の買取価格は7〜9円ですが、新電力(小売電気事業者)の中には、より高い買取価格を提示している会社があります。

新電力の卒FIT買取価格(参考例)

新電力 買取価格 条件・特徴
東京ガスの電気 9.5〜10円/kWh ガスとセット契約が条件
Looopでんき 相場連動型 時間帯で変動、高値狙いも可能
エネオスでんき 9〜11円/kWh エリアにより異なる
生活クラブエナジー 10円/kWh 生協会員向け
スマートテック 10〜11円/kWh プレミアム買取プランあり

新電力に切り替えることで、大手より1〜3円程度高く売れる場合があります。年間2,000kWhの売電なら、年間2,000〜6,000円の差額です。

メリット: – 手続きが簡単(ネットで申し込める) – 初期費用がかからない – すぐに切り替えられる

デメリット: – 買取価格が大幅に上がるわけではない(最大でも11円程度) – 新電力の経営状態によっては撤退リスクがある – 電気料金単価(25〜35円)との差は依然として大きい

新電力各社の買取条件は変更される場合があります。最新の価格は各社の公式サイトでご確認ください。


選択肢2: 蓄電池を導入して自家消費する

卒FIT後の選択肢として、最も経済メリットが大きいのが蓄電池の導入です。

太陽光パネルで発電した電気を売らずに、蓄電池に貯めて自分の家で使う。これが「自家消費」です。

日中に太陽光で発電した電気を蓄電池に充電し、夜間や曇りの日に使うことで、電力会社から買う電気の量を大幅に減らせます。

メリット: – 電気料金単価分(25〜35円/kWh)の節約効果がある – 停電時に非常用電源として使える – 電気代の値上がりに左右されにくくなる

デメリット: – 初期費用がかかる(80〜200万円) – 蓄電池にも寿命がある(10〜15年) – 設置スペースが必要

なぜ自家消費が有利なのかは、次の章で詳しく数字を使って解説します。


選択肢3: 何もしない(そのまま放置する)

FIT期間が終了しても、特に手続きをしなければ、地域の大手電力会社が自動的に余剰電力を買い取ってくれます。そのため「放置していても電気が無駄になるわけではない」のですが、買取価格は先ほどの表のとおり7〜9円です。

放置するということは、太陽光パネルが生み出す電気を最も安い価格で手放し続けることを意味します。

仮に年間2,000kWhを売電し続けた場合、自家消費に切り替えていれば得られたはずの節約額との差は、年間3万〜5万円以上になることもあります。

「何もしない」は、気づかないうちに損をし続ける選択肢です。


自家消費がお得な理由を数字で解説

「売電を続けるより、自家消費のほうが得」と言われても、ピンとこない方もいると思います。ここでは具体的な数字で比較します。

売電単価 vs 電気料金単価

項目 金額
卒FIT後の売電単価 7〜9円/kWh
電力会社から買う電気料金単価 25〜35円/kWh
差額(自家消費のメリット) 16〜28円/kWh

つまり、1kWhの電気を売れば7〜9円にしかなりませんが、自分で使えば25〜35円分の電気代を節約できます。同じ1kWhの電気でも、使い方によって3〜4倍の経済価値の差が生まれるのです。

年間の金額で比較してみる

年間の太陽光発電量が4,000kWh、そのうち2,000kWhが余剰電力(売電 or 自家消費に回せる量)の家庭で計算します。

選択肢 計算 年間メリット
売電を続ける(8.5円) 2,000kWh × 8.5円 17,000円
自家消費する(電気代30円節約) 2,000kWh × 30円 60,000円
差額 +43,000円/年

自家消費に切り替えることで、年間約43,000円もお得になります。10年間で考えると43万円の差です。

さらに、ここ数年の電気料金は上昇傾向が続いています。2026年の再エネ賦課金は4.18円/kWhと過去最高水準であり、燃料費調整額の変動も合わせると、今後も電気代が下がる見通しは立ちにくい状況です。

つまり、電気代が上がれば上がるほど、自家消費のメリットも大きくなるのです。


卒FIT向け蓄電池の選び方

「蓄電池を導入しよう」と決めたとき、どんな蓄電池を選べばいいのでしょうか。卒FIT世帯が蓄電池を選ぶ際に特に重要な3つのポイントを解説します。

ポイント1: 容量は「余剰電力量」から逆算する

蓄電池の容量は、太陽光の余剰電力量と夜間の電気使用量をもとに決めます。

世帯人数 夜間の電気使用量目安 おすすめ容量
2人暮らし 5〜8kWh 5〜7kWh
3〜4人家族 8〜12kWh 7〜10kWh
5人以上・オール電化 12〜16kWh 10〜16kWh

容量が小さすぎると余剰電力を使い切れずに結局売電してしまい、大きすぎると初期費用がかさみます。自宅の電気使用量と発電量のバランスに合った容量を選ぶことが大切です。

見積もり時に、過去の電気使用量データをもとに業者がシミュレーションしてくれるので、まずは相談してみるのが確実です。

ポイント2: 既設の太陽光に「後付け」できるか確認する

卒FIT世帯の場合、すでに太陽光発電システムが設置されているため、蓄電池は後付け(レトロフィット)になります。

ここで注意したいのが、既設のパワーコンディショナー(パワコン)との相性です。

蓄電池のタイプは大きく2種類あります。

タイプ 特徴 卒FIT世帯との相性
単機能型 既存のパワコンをそのまま使い、蓄電池専用のパワコンを追加する 既設システムに影響なく後付けしやすい
ハイブリッド型 太陽光用と蓄電池用のパワコンを1台に統合する パワコン交換が必要だが、変換効率が高い

既存のパワコンがまだ正常に動いている場合は単機能型、パワコンの寿命(10〜15年)が近づいている場合はハイブリッド型に交換するのがおすすめです。

卒FITを迎えるタイミングは、ちょうどパワコンの交換時期と重なることが多いため、パワコン交換と蓄電池導入を同時に行うと、工事費用を抑えられるメリットもあります。

ポイント3: パワコン一体型(ハイブリッド型)も検討する

先ほど触れたハイブリッド型蓄電池には、以下のメリットがあります。

  • 変換ロスが少ない: 太陽光パネルからの直流電力を直接蓄電池に充電できるため、単機能型よりもエネルギー効率が高い
  • パワコンが1台で済む: 設置スペースを節約できる
  • パワコン更新と同時施工で費用削減: パワコンの交換費用(20〜40万円)と蓄電池導入を一本化できる

特に、太陽光パネルの設置から10年以上が経過している卒FIT世帯では、パワコンの更新と蓄電池の導入をセットで検討するのが、最もコストパフォーマンスの良い選択肢になることが多いです。

蓄電池の選び方についてさらに詳しく知りたい方は、「家庭用蓄電池おすすめ5選|失敗しない選び方」もあわせてご覧ください。


DR補助金を使えば最大60万円の補助が受けられる

蓄電池の導入費用は80〜200万円ほどかかりますが、2026年度のDR補助金(分散型エネルギーリソースの更なる活用に向けた実証事業)を活用すれば、最大60万円の補助を受けられます。

2026年度 DR補助金の概要

項目 内容
補助額 上限60万円(蓄電池の容量・性能により変動)
公募期間 2026年3月24日〜2026年12月10日
申請方法 販売施工業者が代行申請(個人では申請不可)
対象条件 DRに対応した蓄電池を導入すること
注意点 予算に達し次第、早期終了の可能性あり

DR(デマンドレスポンス)とは、電力需要のピーク時に蓄電池から電気を放電するなど、電力の需給バランス調整に協力する仕組みです。対応した蓄電池を導入することが補助金の条件になっています。

仮に150万円の蓄電池を導入し、DR補助金を60万円受けられた場合、実質負担は90万円まで下がります。先ほどの自家消費メリット(年間43,000円)で計算すると、約21年で回収。これに自治体の独自補助金(都道府県・市区町村)を併用できれば、さらに回収期間は短くなります。

また、停電時の非常用電源としての価値や、今後の電気代値上がりによるメリット増加分を考慮すると、実質的な回収期間は15年以内になるケースも十分にあります。

補助金の詳しい条件や自治体ごとの上乗せ補助金については、「蓄電池の補助金まとめ|最大60万円もらえる条件」で解説しています。

重要: DR補助金は予算に達し次第終了します。2026年12月10日が公募期限ですが、例年、夏〜秋には予算上限に達するケースが多いため、検討中の方は早めに見積もりを取って動き出すことをおすすめします。


まとめ: 卒FIT後は「自家消費」が最もお得な選択肢

最後に、この記事のポイントをまとめます。

項目 内容
卒FITとは FIT制度の10年間の固定買取期間が終了すること
卒FIT後の売電価格 大手電力で7〜9円/kWh(FIT時の約1/5)
3つの選択肢 新電力に売電 / 蓄電池で自家消費 / 放置(一番損)
自家消費のメリット 年間約4.3万円お得(売電比較)
おすすめの蓄電池タイプ 容量7〜10kWh、ハイブリッド型が有力
補助金 DR補助金で最大60万円(2026年12月10日まで)

卒FIT後に「売電を続ける」のか「自家消費に切り替える」のか。数字で比較すると、電気料金単価(25〜35円)と売電単価(7〜9円)の差額16〜28円/kWhが、そのまま自家消費の経済メリットになります。

特に以下に当てはまる方は、蓄電池の導入を前向きに検討する価値があります。

  • FIT期間が終了した(または間もなく終了する)
  • パワコンが10年以上経過して交換時期に近い
  • 日中は不在で、夜間の電気使用量が多い
  • 停電に備えたい(台風・地震の多い地域)
  • 電気代の値上がりが気になる

蓄電池は製品や施工業者によって価格に大きな差があります。最低でも2〜3社から見積もりを取って比較するのが、損をしない鉄則です。

以下の無料一括見積もりサービスなら、お住まいの地域に対応した優良業者を最大5社まで比較できます。もちろん見積もりだけでも利用可能です。

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卒FITは「損」ではなく、電気の使い方を見直すチャンスです。太陽光パネルはまだ15〜20年使えます。蓄電池と組み合わせて、発電した電気を最大限に活用しましょう。


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